自律神経のバランスを整える

免疫力を高めるには自律神経のバランスを整えることが大切です。

 

例えば免疫学の第一人者である安保徹氏は、免疫力の低下を防いでより健康的な毎日を過ごすためには、自律神経のバランスを整えることが重要であると述べています。

 

その自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、血管に巻き付くようにして全身に張り巡らされているもので、アクティブな状態になったり、興奮したり緊張したりすると交感神経が優位になるといわれています。一方休息したり、リラックスしたりすると、副交感神経のほうが優位になると言われています。

交感神経が優位になると、白血球中の免疫細胞である「顆粒球(かりゅうきゅう)」が増え、副交感神経が優位になると、「リンパ球」という免疫細胞が増えるとされています。

 

この二つの免疫細胞に関しては、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが良ければ問題はありませんが、交感神経が過剰に優位になりすぎることで、顆粒球ばかりが増えすぎてしまうと、健康維持に必要な常在菌までも攻撃してしまい、免疫力の低下につながると言われています。

 

また使われない顆粒球が残ってしまい、死ぬときに活性酸素をばらまいて細胞を傷つけてしまうといいます。

 

一方、リンパ球が増えすぎても、抗原(アレルゲン)に敏感になってしまうため、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を起こしやすくなるとされています。

 

つまり、交感神経と副交感神経のどちらかがある程度優位になることは、免疫細胞が増えることで免疫力の向上にもつながるのですが、一方が増えすぎてしまうと、免疫力は低下してしまうのです。

 

血液の流れにも深く関係している自律神経

 

また、自律神経は血流にも深く関係しています。自律神経は交感神経が働くと血管は収縮し、副交感神経が働くと血管は弛緩するといったように、血管の動きを支配することで血流の流れをコントロールしているのです。

 

しかし順天堂大学教授の小林弘幸氏によれば、交感神経が優位に働きすぎると血管が収縮しすぎるため、血流は速くなりますが血液の量は減少してしまい、さらに血管が収縮しすぎると、血管が細くなることで、「血管内皮細胞」を傷つけてしまい、血管がボロボロになると言います。

 

反対に副交感神経が優位に働きすぎた場合は、血管が弛緩しすぎることで、血液の量は増えますが、血流のスピードが遅くなり、血液の流れは悪くなり、さらに血流が悪くなることで、血栓が出来やすくなるそうです。

 

しかも、血流が悪くなると、細胞に十分な酸素と栄養が運ばれなくなったり、がん細胞と闘うための免疫細胞も運ばれにくくなるといいます。

 

この二つのことに関して、小林弘幸氏は「ですから血流が悪くなると、細胞の機能が低下するうえ、免疫力も低下してしまうのです。さらに血管がもろくなり血栓ができやすくなるのですから、血流が悪いというのは一般の方々が考えている以上に体にとって悪いことなのです」と述べています。

 

大切なのは自律神経のバランス

 

一方、小林氏によれば「体がもっともよい状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動している状態のとき」だそうです。

 

そのため、交感神経と副交感神経が両方ともバランスよく働くことが大切だと思われますが、小林氏によれば副交感神経のレベルは加齢と共に下降していくと言います。

 

また現代人は時間に追われたり過度のストレスにさらされたりすることで、常に緊張を強いられる場面に遭遇することが多いと思われます。

 

そのため、自律神経のうちの交感神経ばかりが優位になり、それが原因で免疫力が低下し、体調を崩したり病気になったりしやすくなっていることも可能性として考えられます。したがって、多忙な人ほど意識的に副交感神経の働きを優位にすることが大切だと思われます。

 

そしてそのことが免疫力を高める方法のひとつなのです。

 

ちなみに小林弘幸氏は『なぜ、「これ」は健康にいいのか? 副交感神経が人生の質を決める』のなかで、「ふだんから副交感神経を上げることを意識的に行うことが、潜在能力を最大限に引き出す方法であるとともに、心身のバランスを整える「最高の健康法」になる」と述べていますが、交感神経ばかりが優位にならないよう「自律神経を意識的にコントロール」することが、免疫力を低下させず、健康的な毎日を過ごす秘訣だといえそうです。

自律神経をコントロールする